公共交通を支える情報技術の研究

公共交通の基本である、移動需要を束ねることで効率的な輸送を行うという考え方は、スマートフォンやIoT技術が浸透する中で、より高度に洗練されてゆくと考えられます。本研究室では、未来の公共交通を支える情報技術を開発するとともに、交通事業者や自治体などと連携し、新しい技術の社会への普及を目指しています。

公共交通オープンデータの推進

当研究室では、日本における公共交通オープンデータ整備を主導的に推進しています。2014年に静岡県ではじめたGTFS形式による路線バスデータ整備の取り組みは、2023年現在600事業者を越えて取り組まれるようになり、今もなお増加中です。これらのデータ整備を支援する技術や、データを活用した研究を進めております。また、本研究からスピンアウトする形で2022年に「一般社団法人 日本バス情報協会」を設立し、様々な関係者と連携してシステム開発やデータ整備支援を進めています。

災害時の公共交通情報提供

近年、道路や鉄道に被害を及ぼす大きな自然災害が頻発しています。その際に不通になったり緊急ダイヤなどで運行される公共交通の案内を、データで支援するプロジェクトを進めています。これまでの災害では、公共交通情報は現地のポスターでしか伝える手段がありませんでした。2018年7月に発生した西日本台豪雨の際には、不通となったJR呉線の代行バス情報提供を呉高専などと協力して実施しました。現在は、GTFSデータを緊急で作成しスマホアプリで乗換案内が出来るような環境構築を目指しています。

地下鉄車内における気圧を用いた位置情報技術​

スマートフォンによって位置情報を用いた便利な交通アプリが実現するようになりましたが、GPS(GNSS)の電波が届かない地下鉄車内では、正確な位置情報の取得が困難でした。この研究では、地下鉄を走行中の気圧変化の特徴を捉え、電波が届かなくても正確な位置を推測することを実現しました。

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